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電池会社が伸び、完成車が赤字になるとき―車の利益はどこへ移ったのか
CATLの増収増益とHondaの2026年3月期赤字を並べ、車体、電池、ソフト、資源循環へ利益と負担が移る構造を読む。個別2社の比較で業界全体を断定せず、次に確認すべき数字も示す。
NOAH'S 30-SECOND READ
Noahの立体読み
車の販売台数だけでなく、付加価値と先行負担がどこへ移ったかを見る。
- SURFACE
CATLは2025年に増収増益。一方、Hondaは2026年3月期に営業赤字となった。
- MECHANISM
電動化では、電池の規模、研究開発、調達、ソフト、工場転換の成否が完成車の利益率を左右する。
- NEXT DATA
電池単価、車種別採算、設備投資、稼働率、在庫、リサイクル収益を同じ時間軸で追う。
『血を流しているのは完成車』という言い方は、車そのものが危険という意味ではない。利益が残らず、開発費や工場転換費を先に負担している、という比喩だ。2025年のCATLは売上高4,237億元、純利益722億元、営業キャッシュフロー1,332億元を公表した。電池販売量は661GWhだった。
同じ時期、Hondaの2026年3月期は売上収益21兆7,966億円に対し、営業損失4,143億円、親会社所有者帰属損失4,239億円となった。ただし、この赤字には電気自動車関連の戦略見直しに伴う一時的な費用が大きく影響している。CATLとHondaだけを見て、電池会社はすべて勝ち、完成車会社はすべて負けと結論づけることはできない。
それでも二つの決算を並べる意味はある。電動車では、従来のエンジンや組立だけでなく、電池セル、電池管理、半導体、ソフト、充電、資源調達、回収と再利用へ支出先が広がる。完成車会社は車を売る前に、複数の技術と工場へ同時に資金を投じる必要がある。
ここで直感を反転させたい。高級な完成車を一台売る会社が、必ず最も高い利益を得るとは限らない。多数の車種やメーカーへ共通部品を供給し、工場の稼働率を高く保てる側へ、規模の利益が集まることがある。利益の重心は、目に見える車体から、その中で繰り返し使われる基盤へ移る可能性がある。
一方、車の価値は企業決算だけで決まらない。暑い日の大渋滞で、一台に一人だけ乗った車が何列も続けば、低燃費車でも道路空間と時間を使う。電動化は走行時の排出を減らせても、渋滞そのものや移動時間の損失を自動では解消しない。
次に見る数字は販売台数だけではない。電池単価、完成車の車種別採算、工場稼働率、研究開発費、減損、在庫、充電収益、回収・再利用の利益だ。車の産業地図は、誰が一番目立つ製品を売ったかではなく、誰が共通基盤を握り、誰が変化の費用を先に引き受けたかで読み直せる。
確認できる2社の決算
| 企業・期間 | 確認できる数値 | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| CATL・2025年 | 売上4,237億元、純利益722億元 | 会社公表値。電池産業全体を代表するとは限らない |
| Honda・2026年3月期 | 営業損失4,143億円 | EV戦略見直し等の一時費用を含む連結全社値 |
会計基準、通貨、事業範囲が異なるため、利益率の単純比較ではなく、資金負担の位置を読む材料として使います。
この話のポイント
- 電池販売量と単価
- 完成車の車種別採算
- EV関連の減損・再編費用
- 工場稼働率
- 電池回収・再利用収益
参照資料
本記事は公開情報をもとにした観測メモであり、投資・融資・法律上の助言ではありません。