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「倍にして」が新メニューに。客が少なく見えるケバブカーが毎週営業できるのはなぜ?
郊外の工場街で、客の「おかずを倍に」という声から生まれた大盛り弁当。一方、別の曜日に来るケバブカーは、客が少なく見える日も毎週営業している。行列と静かな売場を手掛かりに、出店料や曜日・場所の組み合わせから、キッチンカーを続ける仕組みを考える。
工場や倉庫が集まる郊外。近くに昼食を買える店が少ない場所へ、週に一度やってくる弁当のキッチンカーには、いつも列ができるという。電話で先に注文を受ける店主に、ある会社員が「おかずをもっと増やしてほしい。倍の金額を払う」と相談した。
そのまま倍額にすると1,480円ほどになりそうだ。店主はそれでは申し訳ないと考え、ご飯とおかずを別の容器に分け、通常より大盛りだが二倍まではいかない、1,000円の新メニューを考えた。電話では「ダブルで」と頼むようになったという。お客の「もっと食べたい」を、値段だけでなく量と形に置き換えた小さな商品づくりだ。
ここで気になるのは、行列のできる弁当カーだけではない。別の曜日に見かけるケバブカーは、客がほとんどいないように見える時間もあるのに、毎週営業している。行列がないのに、どうして店を開け続けられるのか。
その一台だけの契約を推測して理由を決めつけるのではなく、まず移動販売にある仕組みを見てみる。中小企業基盤整備機構のガイドは、調理済み食品などを売る移動販売について、複数の出店先やイベントを組み合わせ、売上の波をならす方法を紹介する。調理を車内で行うケバブカーと同じ業態ではないが、「一つの場所の客数だけで一週間の商売を判断しない」という見方は参考になる。
出店料にもいくつかの形がある。たとえば、ある出店サービスは売上に応じた手数料制を採用し、FAQでは売上の15%、固定費や初期費用なしと案内する。こうした条件なら、客数が読みにくい場所でも、毎回一定の場所代を負担するより試しやすい場合がある。ただし、これはそのサービスの契約例で、すべての出店場所やケバブカーに共通する仕組みではない。
もちろん、出店料が売上連動でも材料費、仕込み場所、車両の維持費、燃料、容器代はかかる。一人で営業する場合も、店主の時間まで無料になるわけではない。飲食店向けプラットフォーム会員358人の2025年調査では、回答者のうちキッチンカー運営中は5.1%。場所の確保、採算、人手などが課題として挙がる。この調査は全国の事業者全体を代表する統計ではないが、車があれば簡単に続けられる仕事ではないことがうかがえる。
だから、「毎週営業できる」と「その場所で毎週もうかっている」は別の話だ。ほかの日の出店、予約やイベント、売上に応じた場所代などを組み合わせれば、ある一か所が静かな日も営業を続けられる可能性がある。行列のできる弁当カーの「ダブルで」は、お客の声が商品に変わる瞬間。ケバブカーの静かな売場は、見えている客数だけでは商売全体が分からないことを教えてくれる。今回は特定の店の事情を追いかけず、確かめられる契約例と費用の仕組みに話を広げた。
確認できたこと・今回の見方
- verified: シンクロ・フードが2025年6月に実施した飲食店ドットコム会員358人の調査では、回答者のうちキッチンカー運営中は5.1%。場所の確保、採算、人手などが課題として挙がった。会員向け調査であり、全国の事業者全体の比率ではない。
- verified: キッチンカーParkは、同サービスの出店場所について売上連動の手数料制(FAQでは売上の15%、場所により変動)と固定費・初期費用なしの条件を案内している。すべての出店先・事業者に共通する制度ではない。
- verified: 中小企業基盤整備機構の移動販売ガイドは、調理済み食品などを扱う販売形態について、曜日ごとの出店ルートとイベント出店の併用を売上平準化の工夫として紹介している。ケバブカーと同一の業態とは限らない。
- inference: 行列の有無は一か所・一時点の需要の手掛かりだが、週全体の売上や採算は、出店先・契約条件・営業日を合わせて見ないと判断できない。
- この弁当カーのエピソードは、郊外の職場で聞いた一事例として紹介し、業界全体の統計や典型例とは扱っていない。
参照資料
本記事は公開情報をもとにした観測メモであり、投資・融資・法律上の助言ではありません。