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円ショート2兆円は、もう半分以下――介入と日本国債を混ぜずに読む

CFTCの円先物では、7月28日時点の投機筋ネット売りが区分によって約2.04兆円または約1.27兆円だった。8月4日には急減した。為替介入と日本国債を別の観測線に置き、何が起きたのかを整理する。

『空売りの積み重なりが1兆円台後半』と聞き、何が起きるのだろうと思った。きっかけは、日本の金利、円キャリートレード、海外へ出た資金の国内回帰を扱う動画だった。NotebookLMと話をたどるうちに、リーマン・ショックのころの市場の連鎖へ進み、昔の2chで見たアスキーアートまで思い出した。懐かしい。ただ、最初にほどくべき数字は日本国債の空売りではなく、米CFTCが公表するシカゴ・マーカンタイル取引所の円先物だった。

CFTCの7月28日分を見ると、旧来のCOTにおける『非商業』区分は、買い10万1,271枚、売り26万4,683枚。差し引き16万3,412枚のネット売りだった。円先物1枚の契約単位は1,250万円なので、単純な想定元本換算は約2兆427億円になる。同じ日のTFFで、ヘッジファンドやCTAなどを主に含む『レバレッジド・ファンド』区分を見ると、買い7万6,752枚、売り17万8,742枚。ネット売りは10万1,990枚、約1兆2,749億円だ。どちらを『投機筋』と呼ぶかで、見出しの兆円額が変わる。

さらに重要なのは、残高が一週間で大きく変わったことだ。8月4日分では、非商業のネット売りは4万5,473枚、約5,684億円へ縮小した。レバレッジド・ファンドも6万825枚、約7,603億円へ減った。1兆円台後半や2兆円という表現は7月末の大きな傾きとしては理解できるが、8月4日時点の最新残高ではない。これは現金2兆円を丸ごと賭けた額でも、含み損でもない。先物契約枚数へ契約単位を掛けた想定元本である。

『レバレッジド・ファンド=全部が円安へ投機するヘッジファンド』とも限らない。CFTCは、この区分にはヘッジファンド、商品投資顧問、商品プール運営者などが入り、単純な方向性取引だけでなく裁定取引も含むと説明している。分類は取引主体の主な事業を示すもので、個々の取引目的までは確定できない。たとえば、店頭取引の為替リスクを円先物でヘッジしている場合もある。数字は有力な温度計だが、誰か一人の巨大な賭けを写した監視カメラではない。

では、円を守る側はどう動いたのか。財務省の公表では、4月28日から5月27日までの為替介入総額は11兆7,349億円で、円買い介入として過去最大だった。介入は為替市場の急激で不安定な動きを抑えるための別の取引であり、CFTCの円先物残高と一対一で対応するものではない。それでも、円買い介入や日米金利差の変化で円が急に上がれば、円売りの先物を持つ側には買い戻し圧力がかかる。8月4日の大幅縮小は、その巻き戻しの速さを観測する材料になる。介入の有無と金額は推測ではなく、財務省の月次・四半期公表で確かめる。

日本国債はここで別の欄へ移す。円先物の売り持ちが減ったから、日本国債が安全になった、あるいは国債ショート勢が撤退したとは言えない。日本銀行は、海外ヘッジファンドが国債、レポ、金利スワップを組み合わせ、ロングとショートの両方を拡大していると指摘する。国債側で見るべきなのは、長期国債先物の建玉、レポ金利、スワップ・スプレッド、入札、現物市場の流動性だ。今回は円側で大きな巻き戻しを確認し、国債側は同じ物語へ押し込まず、様子を見る。この二本立てのほうが、次の異変を早く見つけやすい。

円先物の売り持ちは一週間でどう変わったか

CFTC区分2026-07-28 ネット売り想定元本2026-08-04 ネット売り想定元本
非商業(旧来COT)163,412枚約2兆427億円45,473枚約5,684億円
レバレッジド・ファンド(TFF)101,990枚約1兆2,749億円60,825枚約7,603億円

ネット売りは売り枚数-買い枚数。想定元本は1枚1,250万円を掛けた単純換算で、投下資金や損失額ではありません。

混ぜずに追う三つの観測線

観測線一次資料次に見る数字
円先物CFTC COT / TFF投資家区分別の買い・売り・スプレッド
為替介入財務省・外国為替平衡操作月次総額、四半期の日付・売買通貨
日本国債日銀、財務省、JPX先物建玉、レポ、スワップ、入札、流動性

円と国債は連動する局面がありますが、同じポジションではありません。

PRIMARY SOURCE

一次資料から一言

Leveraged Funds. These are typically hedge funds

CFTC・TFF explanatory notes

為替相場の安定を目的として通貨当局が市場において、外国為替取引(介入)を行うことがあります。

財務省・外国為替平衡操作の実施状況

この話のポイント

  • 毎週金曜に公表されるCFTC円先物の非商業・レバレッジドファンドのネット枚数
  • 財務省が公表する為替介入の月次総額と四半期の日次明細
  • ドル円、日米金利差、円先物の巻き戻しが同時に動くか
  • 日本国債先物、レポ金利、スワップ・スプレッド、入札、現物流動性

参照資料

本記事は公開情報をもとにした観測メモであり、投資・融資・法律上の助言ではありません。